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減災絵本「いのちをまもる智恵」を作るにあたり
2007年、まだ僕が大阪大学コミュニケーションデザイン・センターに居た頃、減災のチームと一緒に本を作った。
「いのちをまもる智恵」という減災の本だ。
過去このブログでも紹介している。
「防災」と言わずに「減災」。
災害は発生するもので、それを無理に防ぐと言うことではなく、普段から少しでも減らす生き方や努力をするというメッセージが込められている。
災害やそこからの復興に際して、これまで人々が時間をかけて培ってきた様々な智恵を、全国各地30カ所から集めて来て本にしたのだが、このプロジェクトにお誘いを受けた時、僕はただグラフィックデザインとして奇麗に本をまとめてほしいと言うことしか期待されていなかった。
軽い気持ちで引き受けたのだが、関係者から話を聞いているとそこで語られている智恵とは人の生き方そのものであり、それをちゃんとメッセージとして届けコミュニケーションにしていくためには、単に視覚的に奇麗にまとめるというレベルでは済まされないと感じた。
人の温度や思想や哲学がその智恵には詰まっていて、それが客観的な報告書という形で脱臭されることに違和感を覚えたのだ。いくらそれがビジュアル的に奇麗であろうといかほどの意味があるのか。
だから、報告書をもとに30個の物語を書くことを自ら決めて本にした。
僕自身はランドスケープデザイナーだったので、もちろん災害対策や減災のことなど知っているはずも無かった。
報告書とともに膨大な量の資料を読みあさり、そこから物語を紡ぎ出して行く。
幸い役者経験があり、脚本を読む事は多かったので何とか出来ると思った。
フィクションかノンフィクションかはあまり関係なく、使えそうな物語はどんどん使って、売れない作家のように毎晩書きあさった。
見開き一つのページに割ける文字数は、読みやすさを考えると800字前後。
その中でいかにメッセージを伝えるのかということに苦労した。
登場人物は2人か3人。多くても4人以内におさめないと分からなくなる。
そしてシーンとしてはワンシチュエーションが限界だったので、日常や非日常の1シーンを切り取るように努力した。
書き出しに一番インパクトのあるフレーズを置き、読みやすくなるように工夫した。
キャッチコピーも全て一人で考えた。
その智恵で語られている中で最もメッセージとして重要だと自分が思える言葉を詩的に聞こえるようにした。
そしてそのコピーはどこか特定の地域でなくても使えるように普遍的な言葉にした。
古くからの言い伝えの中にやはり智恵が潜んでいる事と、それを将来へ受け継いでいかねばならないことを踏まえて、全体のストーリーの順番を決めた。
今回の東日本大震災で被害を受けた地域も物語にした場所だ。
津波をいかにして防ごうと努力して来たかという地域の人々の歩みを物語として切り取った。
だから僕にとっては今回の震災は人ごとでは無かった。
この絵本に登場する人も被災されたのを新聞を読んで知った。
第26話の「津波てんでんこ」に出てきた方で誰よりも津波の恐ろしさを知っている人が津波に襲われたのだ。
災害と言うのは必ずやってくる。
しかし我々はそれがいつやってくるかを知らされていない。
だから普段から災いを少しでも減らす生き方が必要なのだ。
この本にはそういうメッセージが込められている。
決して手前みそで言っているのではない。
是非、この絵本をお読みいただきたい。
僕はただの代弁者で、そこにはその地域で災害と闘って来た「人間」の智恵は描かれている。
「いのちを守る智恵 〜減災に挑む30の風景〜」
編著:花村周寛
絵:中村妙
解説:吉椿雅道
発行:レスキューストックヤード
by innerscape
| 2011-05-20 19:44
| 日常
私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?
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