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私的風景の電脳記録
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霧はれて光きたる春2014のレポート六日目

予報を見ると今日は夜から雨と出ていたが、朝目覚めてから見た空は快晴だった。
少し風もおさまって穏やかかと思っていたが、昼下がりになるにつれてだんだんと風が強まり始めた。

今回のライトコートの竪穴は13階分あり底面積も過去最大の大きさで気流はうまく読めない。
室外機がライトコート側にたくさん出ているので、そこから出る空気も竪穴内部の気流に当然影響を及ぼす。
いつも本番の一時間ほど前にはテストで機材を動かす。
大体は竪穴の底から見上げて落下してくるのをチェックするのだが、ゆっくり動いている雲の動きとは反してテストの時には雪もシャボン玉も奇麗に落下して来た。
これが夕方になるとまた流れが変わる。
時おり上昇気流がふいに生じることもある。
気流ばかりはどれだけやっても正確に読むのは難しいし、それ自体は見えないので何かを媒介させる必要がある。
今日の気流はとても複雑で、30分の間にも上昇気流が吹き上げたり、下降気流が一辺だけに下りたりとしていたので、とても変化に富んだ動きが展開されていた。
どちらかというと今日は上昇気流が豊かだったので、霧と底部のシャボン玉を多めに演出した。

こうして毎日気流や天候を読みながら作品を作っていると、自分がやっている表現は芸術というような領域の話ではなくシャーマニズムの一種なのだと改めて思えて来る。
ランドスケープアーティストは自己表現というようなものではなく、現代のシャーマンとして自然を読みながら、それに形を与えていくということだと僕は思っているが、霧や雪やシャボン玉というメディア(媒体)をこの場所に差し込む事で、僕は気流の動きを表現しようとしているのだと自己分析してみる。

ところで、世界中のあちこちの部族はそれぞれ何らかの雨乞いの儀式を持っているが、概ねそれは煙を炊き、水を撒き、太鼓を叩くということをするという。これは煙は空に立ち上る「雲」を表し、水は天からの「雨」を表し、太鼓の音は「雷」を表している。
こうして雨が降って来るプロセスやマテリアルを真似る事で、実際に雨を呼び起こそうという儀式なのだが、J・フレイザーによるとそれは“共感呪術”と言われる行為だという。
僕はこれは物理的にそのマテリアルが影響して天候が変化するということではなく、自然と類似したプロセスを作ることで生まれる空気感が重要で、それに感応する人々の心の力が雨を降らせるのかもしれないと考えている。それが共感呪術の本質なのではないかと思う。

僕のしていることがシャーマニズムであるとするならば、上から雪を降らせて下から霧を発生させることで肌寒い吹雪の風景をつくり、その後に空から光る珠が落ちて来る風景を作るというプロセスが、一体何を模倣し、何を呼び起こそうとしているのかというのは興味深い。
そしてそれが病院の人々のまなざしをどう変化させ何を祈らせるのかについて、考察する必要がある。

自分で表現しているものに対して、必ずしも自分が一番正確に把握しているとは限らないのだ。
むしろ自分が完全に把握しているものというのは逆につまらなくて、自分が無意識に選択しているものの中に創造性の本質があるようにさえ思えて来る。

僕はこの作品の意味は一体なんですかと聞かれる度に、一応の説明として「霧は闘病生活の不安を表し、シャボン玉はそれを抜けた後の希望を表現している」という答え方をするが、それは後から引いた意味付けの補助線であって、それを理由に自分がこの表現を思いついたわけではない。
常に原因は自分の無意識の領域の中にあり、後から結果として理由がやってくるのだ。
今回はそうしたことも検証したいと考えており、サポーターの皆さんのまなざしを借りて、人々の心の中での動きや祈りを読み解くことを試みている。

さて、本日聞いた中で興味深い話をいくつか紹介する。
6階の心臓外科の談話室に二人のおじいさんが座ってシャボン玉を見ていた。
その二人にこちらのアーカイブスタッフがカメラを向けた時に、その二人はカメラに向かってピースをしていたりした様子で楽しまれていたという。
その時に片方がもう片方に向かって「元気やな、今から手術やのに」と呟いたそうだ。
今から大きな手術を控えた方の様子ではなかったので報告してくれたサポーターは驚いたという。
他には7階に居た若いカップルは現象が始まっても全く見ずにテーブルについて話をしていたので、サポーターが話しかけて現象の存在を促したがあまり興味を示さなかった。
しかし、だんだんと談話室に人が増えて来て皆が窓の外に起こる現象を見て騒ぎ出しても、そのカップルは相変わらず窓の外を見ずにテーブルで会話していたが、その会話のトーンが先ほどとは明らかに違って、はしゃいでいる人々の高揚感に影響されていて白熱しているようだったとサポーターは感じたようだ。
現象そのものには心を動かされていなくても、それに心を動かされている人の心やそれに影響を受けている「空気」に反応するということがあるのは非常に興味深い。

空気とは物理的な気流の動きだけでなく、その空気の持っている情感や質というのがあるのだと思う。
霧と雪とシャボン玉というのはいずれも物理的な気流に反応するマテリアルとして挿入しているのだが、それだけではなく、このマテリアルが人々の心にどういう情感や質をもたらすメディアになっているのかという所が重要だ。
一つのマテリアルが複数の情感をもたらすことはあると思うが、それが総体としてその場所にどのような空気感を与えているのかということは研究の余地がある。
ひょっとするとその空気感に感応した人の心が、実際の何かの行為や現象を引き起こす可能性があるからだ。会話の白熱という行為はきっと現象に感応した人の心がもたらす空気感が引き起こした結果だろう。
現象だけがこの作品のマテリアルではなく、そこから派生する人間の心の動きもまた、別の人のマテリアルになっていくというのが面白いと個人的には思っている。

明日は最終日。
今夜から降り続ける雨は、きっと明日の本番の開始時刻までには降り止むと確信している。
雨上がる風景をイメージしながら祈るということも、また共感呪術となり実際の天候を導くかもしれない。
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by innerscape | 2014-03-29 23:59 | アート

私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?

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