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私的風景の電脳記録
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霧はれて光きたる春2014のレポート最終日


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土曜日の夜から降り出した雨が日曜日の午前には強くなってきていた。
傘をさして歩くのも難しいぐらいの激しい雨が一時は降っていたが、なぜか午後には晴れるような予感がしていた。
天気予報でも午後からは雨が止むと言っていたこともあったが、そういう情報からではなく、もっと大きな予感が今日の「霧はれて光きたる春」の最終日に素晴らしい風景が見れる事を告げていた。
実際に午後にはピタリと雨が止んだ。
なぜかそれは自然なことのように感じられた。

一週間を振り返ってみると、奇跡のように一度も中止にはならなかった。
本番の一時間前になるといずれの日も天候がおさまるのだ。
不思議な力が働いているのを感じる。

土日にこの「霧はれて光きたる春」を実施するのは実は今回が初めてだ。
今までは土日は病院側のスタッフも少なくなるのと予算の関係もあって実施を見送っていたが、今回はなぜかこの土日にしたいと自然と思えるようになったのだ。
お見舞いのご家族やご友人の方々ともこの風景を共有することが必要な気がしたのだ。
それと今回はサポーターの方々ともこの風景を共有したかったということもある。
実際に今日がこれまでの中で一番たくさんのサポーターが集まった。

毎回サポーターには16時に病院前の公園に集合してもらい。、そこでお名前の確認をした後、院内を皆で通って控え室へ向かう。
そこで40分間ほどのディスカッションの時間を事前に持つ事にしている。
そこでは自己紹介から始まり、趣旨とサポート内容の説明、そして30分の間のまなざしの向け方や注意事項などの説明を行う。
やってこられる方々は様々で、僕の講演を何度かお聞きになった方や、普段からよくご一緒させて頂いている方、そして初めて会う方など様々だ。
クラウドファンディング頂いている方には全員にサポーター参加の呼びかけをしているが、それでもわざわざこの病院まで時間を作って風景を見にやってきてくれるのはほんの一部だ。
こちらからいくら見て欲しいと思っていたとしても、結果的にこの風景を共有出来る人はご縁があったということなのだと思う。
いくら欲していてもご縁の無い方とは風景が共有出来ないし、別に望んでいなくてもたまたま共有してしまう人も居る。
人の縁とはつくづく不思議なものだと感じる。

現象は毎日変わるし、サポーターも毎日入れ替わる。
そして院内の人々の認識も変化していく。
毎日同じ時間に同じ空間で現象が起こるが、気流によって現象も異なれば、それを共有する人々も異なるし、見る人々のまなざしも異なる。
それは毎日起こる出来事なのだが、まるで違う風景なのだ。

現象が起こるライトコートに面していて一番人が集まりやすい談話室がメインの視点場になるのだが、普段はそこにあるテレビから何かの番組の映像が流れているので、それを院内の人々はぼぉっと眺めているようだ。
しかし17時になるとテレビが消されて、現象がスタートする。
そうすればそれまであまり人気がなかった談話室にそれぞれの病室から人が集まって来ていて、知らない間にいっぱいになっている。

テレビは受動的に目に入って来るが、ライトコートで起こる現象は「能動的なまなざし」になるという違いがある。自分から現象を追いかけないと現象そのものを捉える事は出来ない。ここにも僕は意味を見出している。
病院の中にいると、受動的になりがちなのではないかと思う。
治療してもらうということに身を任せることも大事なのだが、自分から治りにいくという構えが治癒する力を引き出すのではないかと信じているからだ。
そうしたまなざしを引き出すためには、現象そのものがショーやエンターテインメントのように何か具体的で分かりやすい意味を持って迫るのではなく、抽象的で自分から能動的に意味を探しにいかないと掴めないような一歩引いた表現をしている方がいいのではないかと考えている。

最終日の現象は素晴らしかった。
この一週間の中で僕が現象として素晴らしかったと考えているのは火曜日と水曜日だったが、それと同じぐらい今日の現象はとても豊かな動きをしていたように思える。
もちろん毎日気流が異なるので、日々違う表情を見せるのだが、今日は空気の動きが複雑でライトコートの中で縦と横の渦を巻いてまるで螺旋のように上昇と下降を繰り返すという風景が展開されていた。

現象の豊かさは単なるきっかけに過ぎない。
多くの人はこの「霧はれて光きたる春」という作品はライトコート内の現象だと思っているようだが、実は本質はそこではない。
現象に反応する人々が演じるドラマに実は本質があるのだ。
もちろん豊かな現象がそこに展開されれば、人々の反応も豊かにはなるかもしれない。
しかし毎日見に来ている人々の中には、まなざしがどんどん豊かになっていって、それほど派手な現象が起こっていなくても、微妙な空気の動きを敏感に感じ取れるように磨かれていく人もたくさん居る。
そして現象を前にして一人でたたずむ姿が美しかったり、また現象をきっかけに初めて言葉を交わす人々同士が生まれる事もドラマティックだ。
ドラマとは何もテレビや画面の中にあるのではなく、日常の何気ないワンシーンの中に見出されるものだと思う。
今回サポーターで参加した方々には最初にそういうまなざしのデザインを施してから現場に身を浸してもらっているので、帰って来ると口々に自分が見たドラマを語り出すのだ。
中には涙を浮かべながら語る人々もたくさんおられる。
自分の抱えている状況と重ね合わせて風景を見ているのだ。

僕は常々「風景の半分は想像力で出来ている」と主張している。
だからサポーターの皆さんが語り出す風景は、それぞれが心に抱いている想像力が生み出していると言えるだろう。
豊かな風景を語り出す人は豊かな心や想像力をもってその場にまなざしを向けている証かもしれない。
しかし一方でうまく言葉にできない人のまなざしが貧しいかというとそうではない。
その場でその時に言葉にできないこともあるし、むしろ言葉にしない方がその事をより深く見つめることが出来るという場合もあるのだ。

今日はあるサポーターは窓辺にたたずむおばあさんに話しかけたエピソードを語っておられた。
そのサポーターはおばあさんに毎日見に来ていますかと話しかけたら、おばあさんはこの作品が好きで毎日見に来ていると答えたそうだ。
それで会話は終わって、そのサポーターはおばあさんからこの風景のどこが好きだとか、どういいうふうに好きだとかは聞かなかったという。
しかしそれが逆に良かったと語っていた。
すぐに言葉にしなくてもいいこと、そして言葉にしなくても一緒に窓の方を向いてたたずんでいられることというのもそれは豊かな風景なのだと思う。

僕らはとかくすぐに言葉にしてみたり、すぐに成功か失敗か、正解か間違えかを判断したがる。しかし、それはすぐに何かに回収させてしまうことで豊かな意味が奪われてしまうことも時にはあるのだ。

この七日間、僕自身はこの「霧はれて光きたる春」という出来事を通じて大きく自分が成長出来た気がする。そしてそれは僕だけではなく、今回の事業に関わった仲間達やサポーターの皆さん、そしてひょっとしたら病院の中で過ごしている人々も何か掴んだかもしれない。
僕にとって芸術として表現をしたり作品をつくったりするということは、自分の思考を深め成長するためにあるのだと思っている。
過去2回この作品を行った時とは比べ物にならないぐらい今回は多くのことを学んだし、そのプロセスを多くの方々と共にすることで、一緒に認識を深めていけたのではないかと思う。
きっと後で映像アーカイブで振り返った時に分かるだろうが、初日の僕の語り口と最終日の僕の語り口は全く異なっていることだろう。
こういうと変な言い方になるが、「霧はれて光きたる春」は僕が作っているようで、実は僕が作っているわけではなく、僕は何かに突き動かされて”作らされている”ことを感じる。僕はシャーマンのように単なる純粋な媒体(メディウム)であり、それは僕を通じて何か大きな意思がそこに出現させた出来事なのだと思う。
そしてここでこの作品を共にした多くの仲間達や、支えてくれた人々との出会いも偶然ではなく、何かの必然が働いていることを感じるのだ。それら全てがこの場の風景を成り立たせている。
それら全ての状況に心より感謝の念が湧いてきて、僕はこの「霧はれて光きたる春」の最終日の最後の振り返りの締めくくりとして自分で書いた詩を朗読した。
こんな経験は初めてだったし、それはどの記録にも残っていない。
しかし何かの確信として自分の中で大切に出来ればと思う。



「霧はれて光きたる春」
作:ハナムラチカヒロ

病は霧の中を進むように
不安で前が見えず
足元もおぼつかない中
ただじっとしているよりほかないが
降りやまない雨がないように
昇らない陽がないように
霧もいつかははれるだろう
霧がはれた空からは
無数の光が降りそそぎ
その向こうにはたくさんの笑顔が見えるだろう
いつかその日が来ることを信じながら
春がくることを待つ

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by innerscape | 2014-03-30 23:59 | アート

私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?

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