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flw moon innerscape


私的風景の電脳記録
by innerscape
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小人の目から眺める町

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アトリエのある東成区で子供たち向けのワークショップを開催した。
大阪市大の地図の森先生と詩人の上田さんが開発した「明日の地図よ」というワークショップがあり、自分たちの街の地図を床一面に広げられた半紙に自由に描くというものだが、その地図を書く前に様々な視点から街を眺めるワークショップをしてほしいと言われ考案したものだ。
街を眺めるワークショップ自体は三パートに分かれていて子供たちはそのうちの一つを選択する事が出来る。
一つ目は歴史散策で、東成の地誌に詳しい地域の方々が子供たちを連れて歴史の解説をしながら街を歩く。
二つ目が僕がしたワークショップでガリバースコープというタイトルをつけた。
三つ目は同僚の哲学者と映像デザイナーが考案した映像のワークショップで東成ムービーを撮ろうというもの。
僕のアトリエが東成にあることと、このワークショップが東成区で行われたことは全くの偶然だが、これも何かの縁だと思い引き受ける事にした。

僕がしたワークショップはごく簡単なもので、小さな人形を街の中に立ててカメラで撮影するというワークショップだ。
街を眺めるスケールを変えてみる事で、発見される風景を変化させることに興味があったのでやってみることにした。
イギリスのスゥイフトという作家が書いた「ガリバー旅行記」の中にリリパットという小人の国が出てくるのだが、それにちなんでガリバーになった視点から街を眺めようということでガリバースコープというタイトルを付けた。
(しかし同じタイトルで既にされておられる方がいたのを後で知ったため、今後このワークショップをするときはタイトルを変えようと思う。)

さて、肝心の内容だが、1/87の鉄道模型の人形を100体ほど用意して実際にワークショップを開催してみると、わんさか子供が集まって来て収集がつかなかったので人数を絞ってスタートしてみる。
小人の目から眺める町_a0091712_17374636.jpg

小人の目から眺める町_a0091712_17383514.jpg


子供たちは必死で人形をいろんなシチュエーションに置いていく。
道端の雑草に置くとまるでジャングルのような風景が出現し、アスファルトの切れ目が巨大なクレバスに見える。
人形を置くという単純な事だが、参加者にとっては見た事も無いような風景をたくさん発見できたはずだ。
人文学的には風景とは人と環境との間で立ち現れてくるとされている。

小人の目から眺める町_a0091712_1739343.jpg


風景はそれ自体としてあるわけではなく、人がいかなる視点を持って眺めるかということによって現れる姿が異なるのだ。
そう考えると風景を眺めるための媒介物をデザインする事もまた風景をデザインしているにほかならないと思う。
ここ数年ランドスケープデザインの一環として考えて来た風景を眺めるためのスコープのデザイン。
今回もまたそのことに確信が持てたワークショップだった。

小人の目から眺める町_a0091712_1740344.jpg

by innerscape | 2009-02-14 17:35 | ランドスケープデザイン

私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?

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