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ルールとコミュニケーション
天神祭りは大阪を代表する水の祭りで、多くの船が大阪の中心部を流れる大川(旧淀川)を下っていく船渡御は特に名物なのだが、今年の天神祭りに大阪大学も初めて船を出すことになった。
独立行政法人化したことや、僕の所属するコミュニケーションデザインセンターが出来たこともあって、大阪大学にもブランディングの必要性を感じるのだが、その一環として、まずはこの天神祭りに向けてグッズのデザインを依頼された。
CSCDを設立された鷲田清一氏が現大阪大学の副学長なのだが、彼からの直々のお願いされるとやはり引き受けないわけにはいかない。
僕と同僚のクボタ氏の二人で、乗船する方々に着てもらう法被とTシャツ、そして団扇と紙袋、船に取り付けるのぼりなどのデザインをすることになった。
7月の半ばの開催に向けて6月の終わりごろを目処に二人でせっせとデザインの詰めを進めていたのだが、kavcaapが多忙きわまる中、ようやく完成を見ることが出来た。
デザインに際しての条件はあの著名なグラフィックデザイナー田中一光氏のデザインによる、銀杏をシンボル化した大阪大学のロゴを入れることで、僕達はその形の持つシンプルさを活かしたデザインが出来ないかと考えていた。
団扇はロゴ自体が丸い形をしていることから、ロゴの形をそのまま団扇に反映させるようにした。
法被は色々と考えたのだが、一枚一枚は到ってシンプルなしつらえにして、皆が法被を着て並んだときに最もインパクトのある風景となることを狙った。
出来上がってずらりと並んでいる風景はなかなか壮観になったんじゃないかと思う。
逆にTシャツの方は、若い女性に着てもらえるように、OSAKA UNIVERSITYのOとUを活かしたウインクをしつらえ、ワンポイントの可愛さを狙った。
そんな経緯で、ブランディングの功労を認められ我々は阪大船への乗船をご招待され船の旅に出ることになったのだが、僕自身は修士論文で大阪の堀川を扱い、その中では天神祭りの研究などもしていたので初めて乗る船にとても興奮した。
天神祭りはやはり川の祭りなので、船に乗らないと祭りの意味が分かりにくいかもしれない。
名だたる企業が各自の宣伝の船を出していたり、太鼓を叩く元気な船や今年は大阪大学と同じく初出船の繁盛亭の船などが見られた。出船の時には大阪大学の隣にあった寄席場の宣伝船には、著名な落語家達の顔ぶれが見られる。
ずっと停泊していて、かがり火を炊いている船もあれば、能を演じている船もあり、陸では味わったことのない天神祭りが見えてくる。
最も大切なのは神様が乗る船である。
何度がその船と行き違うのだが、そばを通り過ぎるときは明かりを落として、声や音楽も潜めて厳かに通り過ぎなければならないのがルールだ。
陸の喧騒の中、そして船上でも騒ぐ中、神様の船が通りすぎる一瞬だけは静寂に包まれる感覚が、とても不思議で気持ちいい。
陸を歩いているときには感じることが出来ないような、川の上でのコミュニケーションのルールが祭りの時にはたくさんあることに驚く。
先ほどの神様の船との恭しいコミュニケーションもそのルールの一つだが、有名なのは『大阪締め』というルールである。
これは、手を三度ほど打ち合わせる動作なのだが、船と船が通り過ぎるときに、相手の船への挨拶として大阪締めを申し込み、お互いがそれを合わせてすることで祭りの喜びを分かち合うというもので、これがなかなか楽しい。
橋の上の人々と、船で下を通り過ぎる人々のコミュニケーション、船と船のコミュニケーション、陸と船のコミュニケーションなど、様々な形でコミュニケーションが繰り広げられる。
普段は静かに水を湛えている川がこうしたハレの日ににぎわい、コミュニケーションを円滑にするためのルールが伝統として残っていることは嬉しい限りである。
祭りの日は、皆が同じ空気感を共有している。大勢の人が何かを共有しているときにはコミュニケーションはいとも簡単に生まれるのだと思う。
ましてや祭りなどは見知らぬ人とのコミュニケーションを生み出す仕組みともいえる。
日常的なコミュニケーションの重要性を信じているが、皆が同じルールを共有し、皆が同じ非日常性を共有することでうまれてくるコミュニケーションの気持ちよさを川の上からよく見える花火を眺めながら味わっていた。
by innerscape
| 2005-07-25 00:18
| コミュニケーションデザイン
私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?
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