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私的風景の電脳記録
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別れの風景

5年間務めて来た職場を去る事になった。
理由は契約満期終了のため。
4月1日からは新しい道に踏み出す事になる。

この5年は自分にとって、とても重要な時期だったように思える。
仲間もたくさん出来た。
多くのことを学んだ。
色んな世界を見た。

つらいこともたくさんあったけど、今はとにかくこ5年間お世話になった方々に感謝の気持ちだけを刻んで、新しい一歩を踏み出したいと思う。

本当に前には何も見えないけれど、きっと何とかなるだろう。
皆さん5年間本当にお世話になりました。
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by innerscape | 2010-03-31 22:28 | 日常

父への手紙

拝啓父上

もう20年になりますね。
あなたと過ごした日々よりも、あなたがいない日々の方が長くなり、僕の人生の中ではすっかりとそのことが当たり前になってしまいました。
今日はあなたが天に召された日ですがまた今年もこうして巡り、何回も通り過ぎる中で自分の生活の一つの区切りにさせてもらっています。

笑ってしまうかもしれませんが、あなたが母と出会い日本へ連れて来た時の年齢を今の僕はもう追い抜いてしまいました。僕は相変わらず独りなので、もし今、お酒でも酌み交わしていたならば、きっと世代の違いについて色々と意見を戦わせていたのではないかと想像してしまいます。

母も姉も弟もみな元気にやってますよ。
母は昨年からようやく少し休めるようになりました。
決して楽ではありませんがでも荷物は下ろして休んでいます。
姉にも二人も子供が出来ました。
とても可愛い子供達です。
僕もいつか自分の子供を持つようになれば溺愛するような気がしてなりません。
弟は地球の反対側で頑張ってます。
あんまり会えずに寂しいですが、あなたゆずりのタフさがあるので彼は大丈夫です。

それにしても20年前の今日、あまりに足早にいってしまったので戸惑いましたよ。
せめて母と姉が日本に戻って来てからでも良かったんじゃないですか。
朝倒れて晩にはもういくなんていくらあなたがせっかちでも少し急ぎ過ぎだと思います。
一緒に居た弟はまだ7歳だったので何がなんだかよく分からなかったじゃないですか。
腹は立ちませんでしたが当時14歳の僕が独りでたくされるにはあまりにも荷が重かったです。
それを背負って旅を続けるのはとても孤独でつらいですよ。
先にどんな風景が広がっているのか、ちょっとぐらいヒントくれても良かったんじゃないですか。
あなたが進んだ道、そして行けなかった道。
これであっているのか間違っているのか。
僕はちゃんと前に進めていますか。

まぁそう言いながら20年経ちこうして手紙が書けるのは僕にも背中の荷が慣れて来たのかも知れません。
あなたが渡した荷物、僕はちゃんと背負えてますか。
ちゃんと二本の足で歩けているかは分かりませんが、何とか旅は続いています。
色んな村の村祭りを手伝って、そうしているうちにたくさんの人と知り合いました。
でも相変わらず祭りが終わると、僕が寝泊まりする水車小屋には誰も来ないので、また荷物をまとめてこっそりと旅立つ日々を繰り返していますが。
不器用さと孤独さはあなたゆずりなのですよ。

今は折り返し地点まで来ました。
もう20年もするとあなたがいってしまった年に近づくでしょう。
今のように村はずれの水車小屋での仮住まいの生活も悪くはないですが、どこかの村で家をちゃんと建てているかもしれません。
そうなればちゃんとあなたから渡された荷物をほどいてひろげることにしますね。
中身はまだ見ていないので今から楽しみです。
それまでどうか見守っていて下さいね。

ではでは。
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by innerscape | 2010-03-27 23:24 | 私的詩

韓国への旅 3日目

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午前中はソウルデザインオリンピックのヒアリング。
3日目は吉田先生も合流して一緒にソウルデザイン財団のオフィスへ出向く。
ソウルは2007年より、World Design Capitalつまりデザイン首都宣言という枠組みで、ソクリエイティブシティを実現しようと動いている。
デザイン首都自体は2008年はイタリアトリノから引き継いで2010年はソウルそして2012年にはヘルシンキへ引き継がれるのだが、国際デザイン協議会で選定される。
600年以上も首都として機能して来たソウル全体では都市計画上の問題はたくさんある。先日も見て来たイミョンバク大統領(前市長)による高架道路を撤去し川へもどしたチョンゲチョンの開発など都市計画レベルで行われるデザインでも創造都市を生み出して行こうとしているが、ソフトレベルで行われているのがソウルデザインオリンピックだ。
経済とリンクする形でデザインを生活化しようとする目的でソウル発のデザインを目指して。2008年、2009年の導入期を経て今年も行われる。2009年の開催時には300万人の来場があったようだ。
かつてオリンピック時に使用された市内中心部にある運動場を利用してカンファレンスを4つ、展示会を30個以上行い100個以上のプログラムが開催期間中に走る。入場料はフリー、50カ国、158企業が集うこのイベントは約20日間行われ、5537億ウォンの経済効果を生み出すのだという。
3年目にあたる今年は「ソウルデザインハンマダン」という名前で行われるようだが、主な目的としてはソウルのデザイン資源の収集とデザイナーと企業や市民とのマッチングを行うことでデザインをビジネス化していくというところにあるようだ。今年は11月にG20がある関係で、前倒しになるようだが、子供たちへの教育プログラムなどもある最終的にはミラノサローネや東京100%デザインのようなものを目指しているようだ。事業規模は市から76億ウォン、協賛含めると140億ウォン。日本円だと14億円というところだろうか。
昨年行われた水都大阪の事業規模が全て税金で9億円と考えると同じような規模だが、経済波及効果では歴然と差が出ているの言える。
よりすごいのは基盤整備として東大門市場のあたりを再開発しており、2011年には東大門デザインプラザが竣工される予定なのだが、国際コンペが行われ建築家のザハ・ハディドの案が採用されている。
デザイン首都都市に採択されることのインセンティブについて聞いてみたが、予算的な措置は全くないという。ただ、やはり意識の上で首都のアイデンティティを作るという方向に持って行くきっかけになり、その勢いを借りて今ソウルカラーやソウルフォントに整備を行ったり、ハンガンルネサンス、ナンサンルネサンスなど場所の再開発事業をデザインを中心に押し進めて行っているようだ。

どうだろうか、このモチベーションの高さとディシジョンメイキングの早さは。
大阪はもちろん東京と比べても完全にソウルの方が勢いを持ってリードしているではないかと思うのは僕だけではないはずだ。
僕自身はソウルとオオサカの両方にルーツがあるので、ソウルのリードに関してはとても喜ばしく感じるが一方でいつまでも進まない北ヤードや江之子島の現状を見ていると非常に危機感を覚える。
2週間ほど前に川崎和男氏と話をしていた時にも彼もアジアに対して同じように感じていることが分かったが、完全に日本はアジアの中で取り残されつつある。

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お昼に少し時間があったので、アーティスト仲間の奥中さんから聞いていた、元・国軍機務司令部「機務司(キムサ)」へ訪れてみた。
以前ここキムサではアートソンジェセンターと一緒に現代美術祝祭「プラットフォーム・イン・キムサ」が開かれていたということで非常に楽しみにしていたのだが、残念ながら施設自体はイベントがされていなかったのでクローズしていた。
やっぱり軍の司令部だけあって警備が厳重だ。ソウル市内には軍人が多い。
日本人はイメージだけで銃や戦争なんてことにどこかロマンチズムを求めたりするが、韓国のように徴兵制があり、戦争という言葉がリアルに響いてくる場所ではその感覚は随分と違うはずだ。
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午後はキョンヒ大学大学院の観光学科へヒアリングに行く。
キョンヒ大学は優秀な大学でホテル観光学科と通訳部門とがあるようでで、一般大学院で200人の学生、社会人を対象にした特殊大学院では250人の学生が修士・博士課程を進んでいる。
特にマイスコンベンションに関する大学院のコースはそれほど多くないようだが、ここはそれがあるようだ。
マイスは日本政府も力を入れようとしているが、高い付加価値や知識、複合的な分野が集まるビジネスチャンスの多い分野で、需要も高いようだ。
ここも同じく経営大学院の流れで観光学科が出来たタイプで、ハードよりもソフトの話の方がメインだが、着地型観光ということになった場合、そのバランスが重要な気がする。
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夕方から夜にかけてはテハンノへ赴く。
テハンノは路上美術館があったり、大学が集まる場所でもあるのでアートが街に結構あふれている。
そこで昨日のNANTAに引き続きノンバーバルのエンターテインメントを見に行く。
今回見たのはドローイングショーというもので、舞台の上に出て来た4人のパフォーマーが即興で絵を描いて行くというショーだ。これも非常によく出来ていてただ絵の技術を見せるというものではなく、キャラクターやストーリーやパフォーマスなどをバランス良く繰り広げる総合的なエンターテインメントだ。
専用劇場で客席もほぼ満席に近い状態になっていて毎晩行われている。ソウルにはこの手のノンバーバルエンターテインメントがたくさんあって、こうしたテハンノみたいな場所で売れたショーはきっとミョンドンなどの中心部へ拠点を移してビジネス化していくのだろう。
やはり観劇についても国際的な戦略や都市的な戦略が必要で、国際的に観客を集めようという場合に言語が大きな壁になる。映画に関してはサブタイトルを見る鑑賞文化があるのでそこまで気にはならないのだが、演劇は平田オリザさんのようにマルチリンガルでいくのも一つの手だが、ノンバーバルという方向性の方が観劇の際はストレスがなくいいのだと思う。
しかし、あんなに複雑な言葉の使い回しなのにチェルフィッチュの海外公演はどうやっているんだろうかなんてことを考えながら外に出てくると、3月なのに大雪になっていた。
複雑な想いを抱きながら雪のテハンノを後にした。
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by innerscape | 2010-03-17 16:33 |

韓国への旅 2日目

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午前中から麗水万博の事務局へのヒアリング。
橋爪さんが今年の上海万博大阪館のプロデューサーということもあり、ヒアリングを入れた。
2012年5月から8月まで韓国の麗水(ヨス)で行われる万博は「生きている海」というテーマの海洋博で、世界100カ国、800万人の参加者を想定している。

現代(ヒュンデ)の本社ビルの中に事務局を構えているので、てっきり現代がかんでいるのか思いきや、そうではないらしい。
100年前に整備された麗水は港町で、多島海で有名な場所だが、麗水自体で30万人、周辺地域あわせても100万人にも至らない小さな街だ。
この街で800万人を受け入れる準備を行うのは大変なインフラ整備が必要だろう。この博覧会でのインフラ整備をきっかけに今後麗水を観光課していく計画だ。
会場は25ヘクタールで周辺一帯をあわせると174ヘクタール。2100億円の予算で、経済波及効果は1.2億ほどの計算のようだ。
ヒアリングした段階では、麗水までの高速道路などのインフラ整備はほぼ出来上がっているが麗水内のインフラ整備がまだだという。

我々は大阪万博や愛知万博での経験を持っているので、その情報をこちらから提供する。
万博の場合、採算の話と跡地利用が重要だ。
特に跡地利用が非常に重要で、地域に何が残るのかということを見据えて万博は行われなければならない。
大阪万博の場合は莫大に儲かったことと、愛知万博と違い跡地利用を開催時点では決めきっていなかったので大きな公園へ転用する事が出来たのだという。
もし負債を抱えていたならば、跡地は売却されて都市開発が行われていただろう。
しかし愛知万博の場合は元々公園だったところを万博会場にし、また跡地を公園にするということを行ったので地元には何も残らない形になった。何でも公園にすればいいというのもまた都市経営の考え方からは違うのだと思う。万博の前後で街が変化したという感覚を地元が持てるかどうかが非常に重要だ。
イベント型の都市開発自体は日本でもう通用するとは思えないが、アジアではまだまだインフラ整備などに有効な手段なのだと思う。
しかし日本がどこを失敗したのかということをちゃんと伝える必要があると思う。

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その後、漢陽大学へ移動し観光学科にヒアリングへ。
非常にユニークなカリキュラムの大学で、そこの学科長の崔教授の頭の良さとレスポンスの早さが非常に印象的だった。10年前に設立されたこの学科は国際レベルの観光専門家を養成する特殊大学院で、ほとんどが夜間の社会人である。卒業生は政府や公共機関、企業などへもいくが、入学者の8割が現場で仕事を持つプロなので、実務での質の向上を目指すために来る人が多い。
漢陽大学は韓国でも上位5位には入る大学で、観光系では一番の大学である。専任は6名、兼任は8名で、企業のCEOなどが兼任している。教育内容は理論が3割、実務ノウハウが7割で、やはり研究というよりも、実務する上でのテクニックと理論的背景の結びつきを学びにくるのか。年齢層は30代が多いようだ。
既に立教大学との交流はあるようで、府立大学とも今後どのような形で連携するかは分からないが、連携の可能性を模索するということで話をまとめてきた。

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漢陽大学を後にし、チョンゲチョン(清渓川)へ。
これはイ・ミョンバク大統領の政策で2005年に復活した都市河川だ。
高速道路が通っていたのだが、それを撤去し、スラムクリアランスを行い人々に開かれた都市河川へ。
チョンゲチョン博物館に全てそのプロセスが展示されている。
開発そのものにはいくつか疑問もあるが、このトップダウンによる政策決定の早さと強さが持っている力は認めざるを得ないと感じる。
川の中央にかつての高速道路の橋脚が3本だけ取り残されているのがとてもいい。
解体作業の途中で地元住民から残してほしいという声があがったようだ。
失われて行くものへの感性が開かれ、彫刻が生まれる瞬間だと感じた。
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夜は韓国を代表するエンターテイメントのNANTAを観劇に。
ナンタはブロードウェイにも出た事があるエンターテインメントで、あるレストランの調理場を舞台にリズムや演劇など様々な物語が繰り広げられて行くミュージカルだ。
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さすがに12年間毎晩やっているだけあり、完成度は非常に高くとても楽しめる。
規模的には大阪の小演劇の劇場と同じぐらいの200席ぐらいだが、専用劇場があり、毎晩同じ演目が行われている。NANTAだけでソウル市内には専用劇場が3カ所あり、それ以外のこうしたエンターテインメントの劇場も多数あって、ひとつの大きなジャンルになっている。

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実はここまで盛んなのには理由がある。
一つは言語を全く使わないことだ。
だから外国人も楽しむ事が出来る。
演劇というのは言葉の壁が非常に大きい。
映画のようにサブタイトル出す事があたりまえになっていないため、言葉の壁がストーリーを追いかけるのに邪魔になる。
そこをうまくしていて、現に客席の8割以上は外国人だった。しかも毎晩満員らしい。

もう一つはずっと同じ演目を続けている事と、キャラクターの役割がはっきりと色分けされていて、それごとに数人づつ役者が居るという事だ。これはキャストが代わってもさほど影響がないということなので、ロングラン出来る理由もここにある。
あとはブロードウェイと同じように笑いとリズムや派手なエンターテインメントがあるということか。

翻って大阪、いや日本での小演劇の現状を見てみると非常に危機感を覚える。
客席に座っているのは演劇関係者のみ。外国人に至っては一人として見た事が無い。
完全に内向きに閉じている。役者側も同様で3ヶ月稽古して来た成果はたったの3日間で終わってしまうほど効率が悪いことになっている。
芸術は効率を求めるものでもないとは思うが、閉じるあまりに世界から相手にされない現状認識が出来ているのだろうか。これは美術館でも同じ事だと思う。

自分も舞台芸術に端っこでも関わる人間としてかなりの危機感を覚えた夜だった。
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by innerscape | 2010-03-16 23:59 |

韓国への旅 初日

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「霧はれて光きたる春」を終えてすぐに韓国へと旅立った。
2月から大阪府立大学21世紀科学研究機構の客員研究員をしていて、橋爪紳也氏、吉田順一氏以下、観光産業戦略研究所のメンバーとご一緒する形となった。
今回の旅は韓国のデザイン/アート事情の視察、韓国の大学との交流、釜山国際映画祭の事務局のヒアリングなど。

関空に朝7時半集合して飛行機へ。
韓国は8月に里帰りして以来だが、枠組みが違うため今回は何だか新鮮だ。

まずはインチョンの開発事情の調査へ。
経済規模は韓国第2位、人口は韓国第3位。
2000年には260万人だった人口は2010年には360万人になった。
インチョンは現在釜山とならぶほどの大規模な都市になってきており、5つの経済特区に星の数ほど超高層が立つ計画となっている。
韓国の大手ゼネコンがこぞってヘッドクォーターを仁川へ移動させていて、大規模なMICEも立てられ、住宅開発及び大学などの研究機関の誘致にも積極的で、ソウル市を追い抜く勢いの世界都市を目指している。
2009年第一期開発は都市博にあわせた形で行われ、第二期は2014年にタワーの完成を目指している。第三期開発の終了は2025年で、仁川開発公社が9000億の予算で行うようだ。
考えてみれば、インチョンの方がハブ空港を持っていることもあり、ソウルよりもより世界からは訪れやすく海外向けのイベントや国際学会などの利便性は高いように思える。
それにしても、このバブルのような現状は一体何なのか。
日本の現状と照らし合わせてみると完全に経済的にもディシジョンメイキングの強さも負けていると言わざるを得ない。その反面、既に成長型から成熟型へと移行したあとの日本は、韓国と同じ土俵で勝負する事は愚かで、むしろ人口減かつ経済成長が横ばいの中での豊かさを追求するべきかとは思う。
しかし国際戦略の中での都市間競争に東京以外の日本の都市が生き残れるとは到底思わない。
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その後ソウルへ移動。
大学の教え子がソウルへ在住しているので、彼女に情報をもらって文来洞へ。
最近注目されつつあるアートスポットで、芸術家が住み始めた鉄工所地区だ。
自分も工場をアトリエにしながら生活しているので非常に楽しみに訪れたが、情報不足なのと時間も遅かったので結局芸術と工場のコラボレーションした姿を十分に堪能することが出来なかった。
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世界中で工業地帯の跡地に芸術家が住みだす現象が起こっているのは、脱工業化社会の次の姿なのかもしれない。芸術家はある意味「先駆植物」みたいなもので、荒れ地に最初にやってきてそこの生態系を作り出す。大阪においても北加賀屋で仲間達が芸術実験を行っているし、北京や上海をはじめマンチェスターやベルリンなどでも状況的には似ている。
僕自身も大阪の東側を中心に国際規模の都市間競争の中で展開を考えて行きたい所だ。

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夜は狎鴎亭洞の方へ足を伸ばし、ドイツからやってきたプラトーンのクンストハレへ。
コンテナを27個積み上げたプラトーンのクンストハレはギャラリーやレジデンスアトリエ機能だけではなくクラブやバーなども複合的にあり、全てが素晴らしく有機的に機能していた。大阪で展開するロールモデルとしては最適なのではないかと、勝手に盛り上がっていたら、幸運にもスタッフの一人に案内してもらえることに。
進出してわずか2年ほどだが、イベントの濃密さや文化の創造の充実さなど驚くぐらいの勢いだ。
スタッフもドイツ人やドイツで育ったコリアンなどで構成されており、コミュニケーションは韓国語と英語とドイツ語だ。
色々と内部事情もお聞き出来、こちらの情報も伝えられたので今後交流していければと思う。
しかしドイツのプラトーンがアジア進出の足がかりとして最初に選んだ都市が東京ではなくソウルであることの意味は、日本で育ったコリアンの自分としてもよく考えねばならないと感じた夜だった。
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by innerscape | 2010-03-15 00:32 |

霧はれて光きたる春

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3月8日から12日までの5日間、大阪市立大学附属病院でアートインスタレーションとして作品を作った。
タイトルは「霧はれて光きたる春」。
かつて埋立地のデザインなどしたことはあったが、これまで自分がアート作品として作った中では最大規模かもしれない。

市大附属病院は3年ほど前からアーティストとして関わらせてもらっていて、小児科外来の壁に作ったワークインプログレスの作品「タングラムランドスケープ」や、6階の中庭で詩人の上田假奈代さんと一緒にした「風のおみく詩」などがあるが、今回はどうしようかと正直悩んだ。

一つにはまず“どの場所を使ってもいい”ということだった。
前回までは「ここでして下さい」と場所を指定された中でのインスタレーションだったので、可能性が限定されることもあるが、その分出来る事も決まりやすかった。
しかし今回は「どこでやりますか?」と言われた。
これは作家としてはとても嬉しい。
信頼されている事の証でもあるからだ。
しかし、その分プレッシャーものしかかってくるのは間違いない。
特に病院という施設は人の生死に関わることが毎日起こる場所で、社会の中でも最も厳しい施設とも言える。
そこで何か一つでも間違いがあって事故でも起こればそれは即座に芸術表現と社会との接点を持つ可能性を閉ざす事につながるのだ。
だからまず、この場所が持つ可能性を探ることから始めた。
アーティストが出来る事はそれぐらいしかないし、それが重要なのだと思った。
誰も想像しなかった扉を開くこと。
一度開かれてしまえば、コロンブスの卵と同じで後は誰かが引き継ぐ事が出来る。
その扉を開くまでがアーティストの本当の役割なのだと思う。

さてよくよく考えてみれば入院経験が無い自分は病院のことをあまりにも知らなさすぎるということに気づき、11月頃から院内のリサーチを始めた。

市大病院は18階建てなのだが、5階までは外来病棟で、6階から上は全て入院病棟になっている。
そして6階から18階までの入院病棟は階ごとにそれぞれの病棟が分かれていて、階が違えば全くコミュニティが違い、普段は会話やコミュニケーションをすることはない。

しかし、一つだけ可能性のある場所があった。
それが6階から18階までの全ての病棟をつなぐ明り取りの吹き抜けだ。
この吹き抜けは人が出る事の出来る場所ではなく、光を取り入れる以外の機能を全く持っていない場所で、普段は誰も見向きもしない空間だ。
しかし、全病棟が面していて、しかも4周ガラス張りになっているので見ようと思えば上下左右の病棟を見渡す事が出来る場所だ。

ここに出来事を起こす事できっと人々が視線を交わしコミュニケーションを図り始めるのではないかと考えた。
しかもここで起こる出来事はきっと圧倒的な出来事でなければならないのだと感じた。
それは圧倒的な風景を目の前にした時に、きっと人は自分が今置かれている立場や利害や役割を忘れて一人の個人へ立ち戻る事が出来ると感じているからだ。

だから、ここに二つの現象をおこした。
それが下から立ち上る濃い霧と、上から降り注ぐ光としてのシャボン玉だった。

結果は、思惑通りだった。
800人が入院するこの病院の人々が医師や看護士や患者という立場を一度忘れて空を見上げ、降り注ぐ光を眺める光景は、作品として自分で意図的に引き起こしておきながら、それは胸を打つ風景になった。
初めて見るはずなのに、どこかで見た事のある風景。
僕らは空から何かが降ってくる風景をどこかで体験した事があるはずなのだ。
今回は音楽もプロデュースし、全館放送で流したのだが、そこでもどこかで聞いた事のあるような記憶に訴えかける音作りを目指した。
入院病棟という閉じた空間でのたった30分の現象だが、そんな時間を持つ事はきっと闘病生活に何かの意味をもたらすはずだと信じている。
病と闘うといいうことは決して身体を治療するだけではないのだと思う。
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治療中の入院病棟で行われているということとで、告知も出来ず多くの皆さんにはお見せ出来ない風景だったが、幸いなことに3月9日付けの毎日新聞夕刊の一面と、4月1日付けの読売新聞の文化面に掲載してもらう事が出来た。
たった5日間の小さな成功事例かもしれないが、人は精神生活をいかに送るのかということは芸術の考えるべき大切なことだし、それは美術館の中だけで閉じこもるべき問題ではないのだと思う。
そのことをまた一つ確信したように思える。

霧はれて光きたる春

病は霧の中を進むように
不安で前が見えず
足下もおぼつかない中
ただじっとしているよりほかないが
降りやまない雨がないように
昇らない陽がないように
霧もいつかははれるだろう
霧がはれた空からは
無数の光が降りそそぎ
その向こうにはたくさんの笑顔がみえるだろう
いつかその日が来ることを信じながら
春が来ることを待つ



このプロジェクトに関わった全ての人々に感謝を込めて
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写真:禁無断転載
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by innerscape | 2010-03-12 23:33 | アート

「霧はれて光きたる春」の速報

「霧はれて光きたる春」という壮大なインスタレーションを行っています。
本日の毎日新聞の夕刊トップに写真が掲載されましたが、霧とシャボン玉を使ったインスタレーションです。

毎日新聞トップ
シャボン玉アート:入院患者楽しませる 大阪市立大病院で


音楽はかなり苦労して制作しましたが、眼前の現象と合わせて、初めて見るけどどこか懐かしい風景を表現しました。
入院患者向けの作品なので、特別な場合を除きご覧いただけませんが、詳細はまたこのブログにてご報告致します。
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写真:小川昌宏(毎日新聞)
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by innerscape | 2010-03-09 13:05 | アート

私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?

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