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コラージュが伝えるもの

残すところあと2回のアーキフォーラムの今回のゲストは後藤武氏である。
近代建築史の研究からスタートした後藤氏の話は同時代における絵画や彫刻などのアートとの関係から建築を捉えており、今回は「建築の時間」というテーマでお話を聞いたが非常に勉強になる内容だった。
20世紀、特に建築やデザインの世界ではモダンという概念がよく問題にされる。
モダンとは一体なんだったのか。そしてその後にやってくるポストモダンとは一体なんだったのか。そしてオルタナティブなモダンとは何か。そんな大きな話題を巡って話が進められた。

ピカソやブラックなどのキュビズムの視点というのは、なぜあんなヘンテコな絵になっているかというと、複数の視点から見たものを一つの二次元平面である絵画へと閉じ込めてしまう、つまりコラージュしてしまうからである。これは一つの絵の中で複数の経験をしてもらおうという意図があって、後藤氏いわくそれは時間が圧縮されたものだと言える。
ちなみにポストモダンの建築ではそういうことをやってきていて、磯崎新のつくばセンタービルもフィリップジョンソンのAT&Tも全部歴史からの引用とコラージュの手法で出来ている。中でもミースとコルビュジェをコラージュしたクンストハルや20世紀の使えるボキャブラリーをうまくコラージュしたボルドーの住宅などを作っているレム・コールハースはポストモダンの論理を一番うまく構築していった人ではないかと後藤氏は続ける。

コラージュされるということは何かのパーツが既にパーツとして存在している、つまり名詞化された状態にあるということで、名詞化された状態ではいとも簡単に取り扱えるツールと化してしまう。
例えば「ハサミ」という名刺。もとは物を切るために「挟む」という動詞だったはずである。それが名詞化してしまうと今度はそのものの本質とは離れたイメージで一人歩きしてしまう。そうするとコラージュのツールとして用いられやすくなる。
建築の場合であてはめてみると、例えば「ピロティ」や「スロープ」や「屋上庭園」などの名詞ももともと本質的に何のためにそれをしていたのかという動詞があるはずである。だから後藤氏は「動詞で考える建築」を考えたいという。
ともかくコラージュというのはある意味で都市を捉える上で重要な概念であるような気がする。

御堂筋を歩いているときと地下鉄御堂筋線に乗っているときと、御堂筋沿いのそごうの中に居るときとでは全く違う体験をしていて、それらは連続的にイメージされにくい。というよりイメージと言うのはもともとコラージュ的なものなのだと思う。
だから複数の視点を一気に経験できる映像や映画はコラージュ的だ。映画はシーンによって主観が切り替わったり、引いた構図になったり、手元や口元がアップされたりする。それって人間が体験したことを脳の中でイメージしたりする構造に似ているのではないだろうか。
それに対して舞台に向かって全ての観客が同じ方向から眺める演劇はコラージュ的な表現媒体ではなく、出来事的なのだろう。
建築で言うと、様々な空間性を持った場所を隣接させる建築、例えばアドルフ・ロースの建築などはある種、空間同士がコラージュされた映画的建築で、どこに居ても同じ体験が出来る、ユニバーサルな体験が出来るミース・ファン・デル・ローエの建築は演劇的なのだと思う。
映画にも少し携わり、空間デザインについても考え、イメージリテラシーの実験を仕事の中で同時にコラージュしている僕としては、今日の後藤氏の話を聞きながら、このあたりの関係性についてもう少し考察を進める必要があるとつくづく思う。
■
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by innerscape
| 2006-02-11 00:17
| マゾヒスティックランドスケープ
私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?
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