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私的風景の電脳記録
by innerscape
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小さな箱から大きな風景へ

小さな箱から大きな風景へ_a0091712_22341778.jpgこの4ヶ月ほど密かにデザインを進めてきた健康食品のパッケージが終に完成した。
『ビューティーエイジング』という名前の健康食品で、成分にはレッドクローバーやαリポ酸などが含まれており、主に40代の女性の美容を考えたサプリメントである。
クライアントの御所薬舗さんとずっと進めてきたのだが、なかなか面白いパッケージに仕上がったと思う。
中身はカプセルなのだが瓶詰めにされており、それを一瓶づつ包むパッケージと三つセットの販売もされるというので、そのセット包装用の箱も依頼されていた。
まずコンセプトの段階で考えたのは、名前のとおり美しく年を重ねるとはどういうことなのかという事である。美しく年を重ねるという事から、時を経るごとに豊かに枝振りを伸ばしていく樹木をイメージしたのだが、樹の幹が小さな植物細胞を積み重ねて樹木全体を支えているように、あるいは小さな葉っぱが集まって大きな樹木の姿を形作っているように、小さな箱を積み上げることで大きな風景になるような箱のデザインが出来ないかと考えた。

小さな箱から大きな風景へ_a0091712_22344154.jpgそこで今回採用したのは六角柱のデザインである。
化学記号のベンゼン環をイメージさせるハニカム形状にすることで丸い瓶を支える際に四角形よりも接する面積が大きく安定して梱包できるというメリットがあるのと、積み重ねた時の安定性も増す。積み重ねた時の全体形状も蜂の巣のように多様性が出るので、陳列された状態が面白い風景を生み出すにちがいない。セット包装の方も3つの六角柱が収まるように六角柱で包み、切り株のようなものを目指した。これもパズルのように全体の陳列に加えるとアクセントになると思う。
紙は少し筋状にテクスチュアが入ったものに金の箔押しでロゴを入れ、ニスコーティングせずに優しい手触りが楽しめるようにした。並べられたときに見える上部にはαリポ酸が含有されている事を示す『α』の文字をエンボス加工して、こちらも視覚と手触りとの両方で楽しめるように工夫した。

小さな箱から大きな風景へ_a0091712_22351721.jpg色のラインナップは2パターン。一般の薬局用とエステサロンなどに置く仕様で、一般用を生成りの肌色に、エステ用を優しい橙色にした。エステ用は黒い色に金色のロゴを載せ、炭のようなデザインをしたかったのだが、バーコードの関係で地の色に黒は採用できず炎のような橙に落ち着いた。
一番苦労したのは、底のデザインである。通常こうしたパッケージの底は地獄底(セミオートマチックロック)と呼ばれるように落し蓋のような形状をしているのだが、通常は四角形のデザインでしかみかけない。六角形のものを6ピースの地獄底にすると強度が格段に落ちてしまい、瓶を振るとすぐに底が抜けてしまうという問題があったのだが、色々と研究と改良を重ねて構造を模索する中で六角形でも地獄底に出来る形を発見した。
結果なかなか面白い箱が出来たと思う。

小さな箱から大きな風景へ_a0091712_22354063.jpg僕自身プロダクトやパッケージのデザインを専門にしているわけではない。しかし風景という切り口から小さなモノに落とし込む視点という意味では、今回作ったパッケージはひょっとするとランドスケープデザインの一つなのかも知れない。
願わくばモノそのものが生み出す風景だけではなく、それが売り買いされる風景やモノを巡って発生するコミュニケーションが豊かな風景を生んでくれますように。
by innerscape | 2005-08-24 22:33 | プロダクトデザイン

私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?

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