flw moon innerscape
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月渡る夜
姉が住む嵐山には渡月橋という橋がある。
全長250mの渡月橋は嵐山の観光名所のひとつで、桂川という川にかかっている。
いや、正確に言うと渡月橋を挟んで下流を桂川、上流を保津川あるいは大堰川というらしい。あの有名な保津川下りはこの渡月橋のところが終着点だ。
今夜はその渡月橋のそばで屋形船に乗り込み鵜飼を見る。
もちろん初めての体験である。
僕はこの渡月橋という名前が気に入っている。
なんとも風流な名前ではないかと思う。
渡月橋は、平安初期の承和3年(836)、空海の弟子の道昌僧正が大堰川を修築したおりに、現在の渡月橋より200mほど上流に橋を架けたのが最初であるといわれている。
その頃はまだ渡月橋という名前ではなく、葛野橋、あるいは法輪寺橋とも呼ばれていたらしい。
渡月橋と呼ばれたのは、今から700年ほど前に亀山上皇が雲ひとつ無い夜空を眺めていると、月がまるで橋を渡るように動いている様子を見て言った「くまなき月の渡るに似る」という言葉から、「渡月橋」と呼ばれるようになったらしい。
昨晩が下弦の月で、今夜は月齢ほぼ23日。
ゆっくりと水面を進む船を包むように、下弦の月は暗い水面に優しい光を落としている。
僕達の乗り込む船は船頭の操縦で鵜がつながれている船へ近づいていく。
腰蓑と烏帽子を身につけた鵜飼の船はかがり火が炊かれていて、その側で休んでいる鵜たちを照らしている。
しばらくして鵜飼たちが棒で船の腹を叩き始めた。
そのリズムに合わせて鵜たちは水面に潜って魚を捕まえてくる。
次々に潜る鵜の姿はかがり火に照らされていて、シルエットが動く様子は影絵のように見える。
こうして千年前から綿々と続けられてきた鵜飼の姿と千年前と変わらずに僕達を包み込む月の夜は、かつてこの風景を愛した貴族達と会話をしているような気持ちにさせてくれる。
千年後にこの風景をつなげていけるのだろうかと、渡る月が問いかけてくる。
全長250mの渡月橋は嵐山の観光名所のひとつで、桂川という川にかかっている。
いや、正確に言うと渡月橋を挟んで下流を桂川、上流を保津川あるいは大堰川というらしい。あの有名な保津川下りはこの渡月橋のところが終着点だ。
今夜はその渡月橋のそばで屋形船に乗り込み鵜飼を見る。
もちろん初めての体験である。
僕はこの渡月橋という名前が気に入っている。
なんとも風流な名前ではないかと思う。
渡月橋は、平安初期の承和3年(836)、空海の弟子の道昌僧正が大堰川を修築したおりに、現在の渡月橋より200mほど上流に橋を架けたのが最初であるといわれている。
その頃はまだ渡月橋という名前ではなく、葛野橋、あるいは法輪寺橋とも呼ばれていたらしい。
渡月橋と呼ばれたのは、今から700年ほど前に亀山上皇が雲ひとつ無い夜空を眺めていると、月がまるで橋を渡るように動いている様子を見て言った「くまなき月の渡るに似る」という言葉から、「渡月橋」と呼ばれるようになったらしい。
昨晩が下弦の月で、今夜は月齢ほぼ23日。
ゆっくりと水面を進む船を包むように、下弦の月は暗い水面に優しい光を落としている。
僕達の乗り込む船は船頭の操縦で鵜がつながれている船へ近づいていく。
腰蓑と烏帽子を身につけた鵜飼の船はかがり火が炊かれていて、その側で休んでいる鵜たちを照らしている。
しばらくして鵜飼たちが棒で船の腹を叩き始めた。
そのリズムに合わせて鵜たちは水面に潜って魚を捕まえてくる。
次々に潜る鵜の姿はかがり火に照らされていて、シルエットが動く様子は影絵のように見える。
こうして千年前から綿々と続けられてきた鵜飼の姿と千年前と変わらずに僕達を包み込む月の夜は、かつてこの風景を愛した貴族達と会話をしているような気持ちにさせてくれる。
千年後にこの風景をつなげていけるのだろうかと、渡る月が問いかけてくる。
by innerscape
| 2005-07-29 00:08
| 自然について
私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?
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