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flw moon innerscape


私的風景の電脳記録
by innerscape
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心の闇を暴く仕事

社会の中で生きて行く上で、人に要求されるのは平坦な心と態度だ。
他者と接するパブリックな場所では、感情の起伏を激しく出す事は禁じられ、平滑で平坦で平均化した態度と感情をもって丸くおさめることを求められる。

しかし人間の心というのは本来そう丸くはなく、いびつな形をしているものだ。
それを無理矢理丸い形へあてはめるものだから、様々な不具合が起こる。
丸い輪郭から突出した部分や欠落した部分というのが降り積もり我々にストレスとしてのしかかる。
そうした抑圧を繰り返すうちに、ささいな事が人を狂気へ駆り立ててしまうこともあるのだ。

芸術にもし社会的な役割を見出すとすれば、そんな心のいびつな形を暴く事だと思っている。
人が心に抱える様々な闇を暴き、それを肯定する。

それが芸術家という職業の持つ社会的使命の一つだと思う。
自己表現という形として受け止められるが、実は単なる個別解を超えた自己の中にあるパブリックを見つめる行為だ。
深く自分の中を見つめ、それをリアルに描き出す。
それは哲学に近い行為を通して紡ぎだされる一つの叫びだ。

その叫びに触れる事で、人はいびつな心を許されるのではないか。
自分が心に抱える闇は自分一人が持っているのではないことを確認するのだ。

心の闇に触れる事はとても危険な行為だ。
うかつに触れてしまうことでこちらの世界に帰って来れない事もある。
だから芸術を実践するということは実は精神を病んでしまう可能性がある危険な行為でもある。

しかしそうした数々の危険をくぐり抜けた芸術家が、その心の中をリアルに暴く事で、多くの人が救われる可能性があるのもまた真実なのだと思う。

芸術家は社会から逸脱した存在として捉えられる事が多いが、実は逸脱することでいつの世も社会を相対化して捉えてきた職業でもある。

だからこそ優れた芸術家は人に感動を与え、尊敬を集める存在なのだ。
by innerscape | 2008-07-31 01:09 | アート

私“flw moon”が日々の生活の中で感じた事を見つめ直し記録します。
心のフィルターを通して見た日々のシーンをひとつづつ電脳に記憶させることで、果たしてどんな風景が見えてくるだろうか・・・?

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